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河原 知子さんの部屋 | 2022年8月活動報告

7月に引き続き不安定な天気が続き、カッと暑くなったかと思うと雷雨となったりした8月でしたが、下旬には涼しい風が吹いてきて秋の気配を感じます。

【今月の活動】

・1/2967の物語「私と車」「切符」
・葛布講習

1/2967の物語

今月収録した1/2967の物語は「私と車」と「切符」です。

「私と車」は、作者がまだ東白川村に運転免許を持った女性が少なかった時代に免許を取り、そこから人生にいかに車が関わったかについて語る物語です。
この話を選んだ理由は、高齢者ドライバーによる事故が昨今よく話題に上り、自分の両親や親戚がいつ免許を返納しようかという話をするようになったからです。
免許を返納することで日常生活が不便になること。
運転をしなくなることで認知症やフレイルが進んでしまうこと。
それだけでも免許返納に悩むには十分な理由ですが、白寿53号に掲載されている「私と車」を読むと、運転にまつわる悲喜こもごもの思い出から、車の免許は生活必需品というだけでなく人生の大切な一部であり、自負や誇りであることがわかります。
老いたり、病気になったり、何らかの理由で今まで当たり前に出来ていた事が出来なくなる。
それは不便であること以上に、自信を失い心に負担が掛かることが問題かもしれません。

「切符」は、戦時中12歳だった作者が、軍隊に入営したお兄さんに会いに行くお話です。

短いお話で、作者は自分の心情、話に登場するお母さん、お姉さん、切符を買えなかった少年、そしてお兄さんの感情を一切表現していません。ただそのとき起こった出来事を、記憶を頼りに書き出した文章です。
しかし、だからこそ人物の言葉や動作のひとつひとつにその時の想いがにじみ出ているようで、情景が胸に迫ってきます。
今の時代、戦争という単語だけ見ても想像や実感をし辛いものですが、淡々と語られる本作を読むと、遠くの「歴史」と思っていた戦争が、今の生活と地続きに感じられました。

「私と車」と「切符」は9月放送です。ぜひご覧ください。

葛布講習

 8月23日から28日まで、静岡県の大井川葛布工房へ、葛の繊維を使った織物の制作を学びに行きました。

 葛はアジア原産の大変生命力が強い植物で、東白川村にもそこら中で生えています。繁殖力の強さからアメリカなどで侵略的外来種として指定され、村でも迷惑な雑草扱いの葛ですが、日本では古くから食用、薬用、衣類や草履、籠など様々なことに用いられ、根、茎、葉、花、新芽の全てを活用していました。
近年SDGsの観点から、その繁殖力と有用性に注目が集まっています。

この研修では葛布の制作だけでなく、日本全国の自然布、古代布、衣服の歴史や薬との関係、織機の地域性と仕組み、そしてファストファッションなど現代社会を取り巻く繊維業の状況についてと幅広く学ぶことが出来ました。

どんなものでも誰かが手間をかけて作っていること、何を作るにも地球の資源やエネルギーが無ければ出来ないこと。

一つのことを掘り下げていくと、世界中のありとあらゆることに繋がっていきます。

前述の通り、葛は栽培しなくてもそこら辺に幾らでもある資源です。
今回学んだことを活かして、有用で持続可能なこの資源を村で役立てていきたいと思います。

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