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雑煮
雑煮は、餅を煮て新年の祝いに食べるもので、もともとは神に供えた品を元日の朝おろして食べる直会(なおらえ)の料理でした。近ごろは本来の意味が失われて、単に正月の1つの料理に過ぎなくなりました。
その作り方は地域や家庭によって多種多様です。雑煮を食べるときは、多く、中ほどが少し太くなった白木の箸を用います。材料は柳材が多いようです。
武家の多かった関東では昔から「新年早々、みそを付けたくない」という縁起をかついで、澄まし汁仕立てとすることが多く、町人中心の大阪では「味噌(みそ)汁仕立ての方が満腹感がある」といって、実利的に考え、味噌汁仕立てにするようです。また、汁粉(しるこ)にして食べるところもあります。
餅は関東では切り餅を焼いて用いるのに対し、関西では丸餅を用います。本来は、円満をあらわす意味で丸餅が正式です。だから、切り餅を用いる場合は、焼いてふくらませ、角をとるのです。
東白川村では、丸餅を用いる家庭と、切り餅を用いる家庭とが、入りまじっています。
雑煮の作り方もさまざまで、以前は囲炉裏で大鍋(なべ)に湯を沸かし、家族の数に応じて焼いた餅をこの湯に入れ、餅がやわらかくなったところで、あらかじめ準備した塗物の椀(わん)の底に、茹(ゆ)でて薄く刻んだ大根を2切れ敷き、その上に餅をのせ、さらに豆腐を2切れ入れ、削り鰹(かつお)をふり、生(き)醤油をかけて食べました。また、生醤油でなく、濃い目の澄まし汁を作ってかける家庭もありました。
現在は、澄まし汁仕立てが多いようで、その具(ぐ)は、野菜、豆腐、鶏肉、かまぼこなどです。
なお、東白川村にはこの餅を「雑煮」としないで、焼いて、そのまま砂糖や黄粉(きなこ)、小豆餡(あずきあん)などをつけて食べる風習も残っています。