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若木迎え
1月2日、新年になって初めて山へ薪(たきぎ)を取りにいく行事を「若木迎え」といいます。多く、年男がその任に当たります。恵方の方角に持ち山がある場合はその山で、それがない場合は近くの山で、1本でちょうど一背負(ひとしょい)になる程度の大きさの堅木(かなぎ)を、三尺(約90cm)程度の長さの薪として切り、背負って家に運びます。昔は他人が所有する山で勝手に切っても差し支えありませんでしたから、あらかじめ、都合のよい場所に見定めておいた堅木を切ったのです。
この行事には仕事始めということ以外に山の神をまつるという意味もあって、切り株に餅や酒を供えました。
若木迎えから帰ると、家庭では、吸い物などの料理を作って、その労をねぎらいました。
3、40年前までの東白川村では、どの家も生活に必要な燃料は、すべて薪に頼っていました。その量も莫大(ばくだい)なら、それを得るための労力も並大抵ではありませんでした。まして東白川村は、東濃ヒノキを特産とする山の村です。だから、若木迎えは、山仕事を始める「事始め」の意味も含んで、大切な行事でした。
若木迎えで運んだ薪は、家の近くの田の畦などの清浄な場所に保管し、「初午(はつうま)」の日に初午団子を作るのに用いました。
全国的にも「初山(はつやま)入り」「山ぞめ」「山立て」「若山踏み」「木切り初め」などといって、広く、さまざまな形でこの行事が行われています。