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歯固(はがた)め
「歯固め」の「歯」は齢(よわい)のことで、この行事は昔、正月の三が日、鏡餅、大根、瓜(ウリ)、猪肉、鹿(しか)肉、押鮎などを食べて長命を願ったことに由来します。
東白川村では、元日の朝、雑煮の餅と共に飾る柿や栗などを食べることをいいます。
枡(ます)に入れて年神にお供えしてあったものを年男が下げて、まず、昆布(よろこんぶ)を手にし、「家族が揃ってマメで正月を迎えることができて嬉しい」と、恵方に向かい、軽く押しいただいて口にします。次いで豆をつまみ、栗2個、カヤの実2個、田づくり1尾、柿1個の順に取ります。「マメでくりくり、がやがやと賑わしく、田を作り、掻き取るように……」という縁起のよい言葉に基づくものです。
歯固めは、雑煮をいただく前に御福茶と共にいただきます。
歯固めの品は家庭によって多少の差異があります。飾るときの個数などもさまざまですが、列記するとおおむね次のようになります。
・茹(ゆ)でて干した栗の実……2個または3個。「勝栗」ともいいます。
・干し柿……2個。串柿などを用い、つるし柿は「首つるし」に通ずるので忌避します。
・子福豆……5粒または7粒。黒豆を煮て米の粉をまぶしたもので、粉を吹く豆から「子福豆」といいます。
・田づくり……2尾。小さな片口鰯(カタクチイワシ)を素干しにしたものを用います。
・昆布……2個。小さく結びます。
・炒(い)ったカヤの実……2個または3個。(昔は、囲炉裏の熱い灰の中に入れて焼いたものを用いました)
歯固めの品は、重箱や枡(ます)などに入れて多量に準備してあるので、儀礼が終わった後は、自由に食べることができます。