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東白川村の文化財

天然記念物

邦好(くによし)の大カヤ

邦好の大カヤ

指定番号 東白川村指定天然記念物第2号
指定年月日 昭和54年(1979)1月31日

所在地 東白川村神土字平565番地の1
所有者 浅木隆子

形状等
種類、数量 植物 カヤ1本
樹高 約17メートル
幹の周囲 目通 4.03メートル
根元 5.44メートル
枝張 東西 11.5メートル
南北 18.5メートル
樹齢 推定 450年
 旧神土村庄屋邦好(くによし)家の庭園木として現存する大カヤで、村内のカヤの木のうちでは最も古木に属する。昭和46年(1971)7月ごろ大きな枝の1本が折損したことは惜しまれるが、樹勢も極めて旺盛で、その景観は、壮大である。
カヤ(Torreya hucifera SIEB of Zucc v)
 北は宮城県から南は屋久(やく)島に及ぶ広い地域に分布するイチイ科の常緑高木である。庭木としても栽培される。古くは「カヘ」と呼び、のちに榧の字を「カヤ」と読むようになった。蚊やりに用いたからとする説もある。

 樹皮は青みがかった灰黒色で縦に裂ける。

 葉は、線形、表面は深緑色で光沢があり、縦に膨らみ、裏面は淡緑色、2本の黄白色の気孔帯が走っている。小枝に螺旋(らせん)状についているが葉柄がよじれて羽状に見える。先端が鋭くとがっている。

 雌雄異株で4月から5月にかけて開花する。雄花は楕円(だえん)形で多数のおしべからなり、雌花は多数の小さな鱗片(りんぺん)に囲まれた1個の胚珠(はいしゅ)からなっている。

 種子は、榧実(ひじつ)といい、10月ごろに成熟する。熟すると紫褐色の表面が割れて内種皮が出る。楕円形で長径2センチメートル前後、短径1から1.5センチメートルぐらい、1個体の重量は1.5グラム程度である。黄褐色の種皮の内には淡黄色の胚乳がある。

 種子には良質な脂肪分を多量に含んでおり、食用油としててんぷら油に適し、灯火油、塗料油、頭髪油として用いる。漢方では蛔(かい)虫や十二指腸虫の駆除剤としても用いる。

 「延喜(えんぎ)式」の中の「典薬寮」には、腸内の寄生虫駆除薬、カヤ油を食用や頭髪油、灯火用にしたことが記されている。神社や寺院にカヤの大樹が多いのも、古い時代の「灯明」とのつながりがあるようである。

 材質は、密で堅く、素直に割れ、耐湿性があるので桶材や小型舟材とされ、碁盤、将棋盤、将棋駒(こま)その他の彫刻材としても用いられる。また、土台、浴室材、橋材などの土木材、建築材としても重用される。

 カヤの種類には、裏日本の森林に生える低木形の変種チャボガヤ(var.radicans.NAKAI.)、種子に旋回する条溝のあるヒダリマキガヤ(var.macrosperma KOIDZ.)、種子の小さいコツブガヤ(var.igaensis-OHWI.)、葉の裏面が上を向いたり正常となったりするツナギガヤ(var.arbiculata MIYOSHI.)などがある。

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