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冬至
太陽の黄経(こうけい)が270度に達するときを冬至といいます。24節気(せっき)の1つで、陽暦では12月22日または23日に当たります。太陽が最も南にかたよるので、北半球では1年中で最も昼が短く、夜が最も長くなります。この日までは、昼の時間が僅かずつ短くなっていましたが、「冬至から畳の目ほど日が延びる」といって、この日を過ぎると今度は、僅かずつ昼の時間が長くなっていきます。
北半球の諸民族の間には、冬至が太陽の誕生日だとする思想があり、冬至を祝う行事はかなり広く行われてきました。昔からこの日を節日(せちにち)として祝う習慣があり、特に、その日が陰暦の11月1日に当たると、「朔旦(さくたん)冬至」といって瑞祥(ずいしょう)とされ、宮中では祝宴が行われました。クリスマスが12月25日に行われるのも、救世主イエス・キリストを太陽になぞらえ、太陽の誕生日と考えられていた「冬至節」と結び付けたためだろうという説もあります。
東白川村には、この日「柚子湯(ユズゆ)」に入る家庭があります。ユズをそのまま、または、輪切りにして風呂にいれるのです。香りがよく、体が温まるので、風邪の予防には効き目があるでしょう。この風習は他の地方にもあり、古くは「みそぎ」の意味もありました。
また、カボチャを食べる風習も広く伝わっています。中風(ちゅうぶう)よけになるという俗信がありますが、ある程度保存の利くカボチャは、ビタミンの多い黄色野菜として唯一のもので、これを季節の野菜が少ない冬に食べることは、現在の栄養的見地から考えても理に適(かな)っています。「冬至カボチャを食べると小遣いに不自由しない」とか「カボチャを越冬させるとその家に不吉なことがある」などという言い伝えもあるようです。なお、この日、「ン」の付く食べ物、例えばニンジン、レンコン、ミカンなどを7種食べると幸せが訪れるともいいます。これも野菜の少ない冬の時期に、栄養をかたよらせないとする先人の知恵でしょうか。
他の地域では、「冬至粥(とうじがゆ)」といって小豆粥(アズキがゆ)を食べるところや、コンニャクを食べるところなどがあります。ある書物によると、加茂郡の一部に、「冬至弘法(こうほう)」といって、村の弘法堂に人々が集まり、ニンジンを炊き込んだ御飯を握り飯にし、子供たちに配るところがあるそうです。