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鼠(ネズミ)の年取り
「大黒天(だいこくてん)」は豊饒(ほうじょう)をつかさどる神で、「恵比寿(えびす)」と共に福神として台所などに祀(まつ)られています。その大黒天の使いとされる鼠に年取りをさせるのが「鼠の年取り」の行事で、多く大晦日に行います。
今は、鼠に食べさせるため、白紙に米や餅などを包んで天井裏に置いたりする簡単なしきたりだけが残っていますが、昔は、にぎり飯に白箸(しろばし)の先を折り曲げたものを刺し、これを枡(ます)に入れて、土蔵の米櫃(こめびつ)の上に供えました。また、正月の歯固めに用いる品々を「嫁さん(鼠のこと)年を取らっせ」と言いながら、天井裏へ投げ上げることもありました。
ちなみに、大黒天は大国主神(おおくにぬしのかみ)と同一に考えられています。そもそも、インドの戦闘の神マハーカーラ(摩訶迦羅(まかから))が仏教にとり入れられて大黒天となったものですが、袋をかつぐ姿と「だいこく」の音が共通するところから、中世以降、神仏習合の思想によって同一視され、しかも、七福神の1つとなって広く信仰されるようになりました。
東白川村神土親田地区などでは、この行事を正月3日に行います。