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茅巻(ちまき)、柏餅、もぐさ餅、そして朴葉餅
昔、中国の楚(そ)の国に屈原(くつげん)という愛国詩人がいました。屈原は仲間の讒言(ざんげん)で江南に遷(うつ)されたのですが、それを悲しんで汨羅(べきら)という川に身を投げて死んでしまいました。人々は、その死を哀れに思い、5月5日の命日には、竹の筒に米を入れ、楝(オウチ)(センダンの古名)の葉に巻いて水中に投げ入れ、その霊を慰めました。この伝説がもとになって、端午の節句に茅巻や柏餅を供える習わしができたといいます。
茅巻は、もち米やうるち米の粉を練(ね)って丸め、笹(ササ)や葦(アシ)でくるみ、その上をイグサや藁、糸などで結んで、蒸したものです。昔は稷(キビ)の粉や葛粉(クズこ)なども用いました。「茅巻」の名は、古くチガヤの葉で巻いたことに由来します。東白川村では葦の葉を用いるので「葦団子(よしだんご)」といいます。
柏餅は、蒸した上新粉(しんこ)を平たく丸めた餅を2つに折り、中に餡(あん)を包み、柏(カシワ)の葉でくるんだものです。茅巻が変化したものだといいます。東白川村では、柏の葉のほかに、槙(マキ)の葉やガンドイバラ(サルトリイバラ)の葉を、上と下に合わせて用いることもあります。
もぐさ餅(ヨモギ餅)は、蓬(ヨモギ)を入れて搗(つ)いた餅のことです。蓬は若芽を摘んで、あらかじめ茹(ゆ)でたものを、蒸したもち米に混ぜて搗きます。普通、小さな丸餅にしますが、中に餡を包み込むこともあります。また、朴(ホオ)の葉を用いて柏餅と同様のものを作りますが、この場合は「朴葉餅」と呼びます。