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3月の行事

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桃の節句

 3月3日は桃の節句、雛(ひな)祭りをします。一部の家庭では、陰暦の3月3日、または1月遅れの4月3日に行います。
 昔の5節句の1つで、いうまでもなく女の子の節句です。
 この日よりも10日か半月くらい前の吉日を選んで雛飾り(次項で詳述します)をします。雛壇(ひなだん)を設け、内裏(だいり)雛を中心に、3人官女(かんじょ)、5人囃子(ばやし)などの人形を並べ、菱餅(ひしもち)、白酒(しろざけ)、あられ、桃の花などを供えて飾るのです。正式な雛飾りの調度を整えていない家庭でも、女児がいる場合は、他の人形などで、なんらかの飾り付けをします。
 お供えの菱餅は、昔は、高黍(タカキビ)で紅色、粟(アワ)で黄色、蓬(ヨモギ)を入れて緑色の3色とし、菱形に切りました。白酒は、味醂(みりん)に蒸(む)した米や麹(こうじ)を混合して熟成糖化させた甘味が強くて白く濁った酒ですが、多くの場合、甘酒で代用しました。白酒や甘酒には桃の花を入れ「延命の桃酒」といいました。トウモロコシを炒(い)って花のようにした爆唐菜(はぜとうな)、炒り豆、それに正月の飾りに用いた花餅を炒って混ぜ、あられを作りました。
 現在は、これらのほかに菓子や果物が多く加わって華やかさを増しています。
 陽暦で雛祭りを行う場合は、時期的に桃の花がまだ咲いていないので用いることができません。だから、イッスンサガリ(榛木(ハンノキ))とエノコロ(猫柳(ネコヤナギ))を代わりに生けます。
 雛飾りの前で、女の子たちが賑やかに楽しい1日を過ごすのですが、この日は男の子も加わり、集団で他家を訪れ、しかも無断でお供えを食べ、持ち帰る風習が東白川村五加などに残っています。その家の人たちは、後からくる子供たちのためにお供えの補充をしますが、決して咎めることをしません。これを「強盗(がんど)打ち」といいます。
 昔は、雛祭りに訪れた最初のお客様に、雛に供えてある小さな食器の御飯を食べてもらうという風習もありました。
 雛飾りを片付けるのは、雛祭りのその夜とする家庭もありますが、雛祭りを陽暦の3月3日に行った場合は、陰暦の3月3日までそのまま片付けないで置く家庭もあります。いずれにしても、その日を過ぎると、その家の娘の婚期が遅れるという俗信があるので、期日がくるときっぱりと片付けます。
 また、雛飾りを片付けるときは、雛に山の青さを見せるとよいとする俗信があり、部屋の障子をいっぱい開けて風を通してから収納する家庭もあります。

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