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8月の行事

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盆 - 御霊祭り

 東白川村の盆は、8月1日から3日までです。
 「盆(ぼん)」とは、仏教の魂祭りである「盂蘭盆会(うらぼんえ)」のことで、8月に行うところもありますが、普通、7月15日を中心に3日間、祖先の霊にお供え物をして供養する行事をいいます。
 その起こりは、亡くなった母が餓鬼道(がきどう)に落ち、逆(さか)さに吊(つる)されて苦しんでいることを知った、目連(もくれん)尊者((まかもくけんれん)ともいいます)という仏十大弟子のひとりが、釈迦の教えにしたがって、7月15日に供養をしたところ、その功徳によって母は極楽浄土(ごくらくじょうど)へ行くことができたという仏説によるとされています。
 仏教では7月1日を「地獄(じごく)の釜(かま)の蓋(ふた)のあく日」とか、「地獄の釜の口あけ」「釜蓋朔日(かまぶたついたち)」などといって、この日から迎え火をたいたりして、盆の行事に入ります。
 東白川村の住民の大多数は仏教徒ではありませんから、「盆」と称して行う行事は、神式の御霊祭りです。しかし、実際には、仏教行事の名残が混在しています。その遠因が廃仏毀釈にあることは前述しました。
 東白川村には、8月1日の夕方「精霊(しょうりょう)迎え」といって、門口(かどぐち)で「迎え火」を焚(た)く習わしを伝承している家があります。これは盆に帰ってくる精霊の目じるしとして焚くもので、マツ、スギなどの木を細かく割って作った松明(たいまつ)を用います。この「迎え火」は7月31日の夕方に焚く家庭もあり、一定していません。
 霊棚(みたまだな)には御饌(みけ)・御酒(みき)のほか、キキョウ、オミナエシ、ハギなど季節の花を供えます。また、盆には、精霊が馬に乗り、牛に荷物を背負わせて帰ってくると伝えられるところから、キュウリやナスに割り箸を4本刺して足をつくり、それにトウモロコシの毛を尾のようにつけて、馬や牛の形に見立てて供えます。
 毎晩、灯明(とうみょう)を献じ、「盆提灯(ぼんちょうちん)」を飾ります。盆提灯は、昔、帰ってくる祖先の精霊の目じるしになるように、戸外に灯籠(とうろう)を掲げたのが、時代とともに変わったもので、軒先などに吊(つる)します。これも、最近は室内に飾る家庭が多くなりました。この場合の提灯は、ほとんど「岐阜提灯」が用いられます。最初のころは、白い紙を張っただけのものでしたが、今は花鳥や草木の絵が美しく描かれたものが使用され、走馬燈のように動きのある提灯が大勢を占めています。
 ごく一部に、まったく提灯などを飾らない家庭もあります。
 盆には、遠く離れて住んでいる家庭も帰省し、揃って祖霊にお参りをします。
 初めにも述べたように、盆は仏教の祖先供養であるわけですが、そもそも、仏教がわが国に渡来する以前から、この行事は存在し、伝統的に、祖先を祭る行事であったとする民俗学者もあります。したがって、盆は正月と同様に昔からの神道の行事なのです。

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